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Ubuntu

UbuntuにWireGuardを入れてVPN接続してみる

ASDK上で仮想ネットワークを作って直接アクセスするためにVPN Gatewayを立てるのが普通ですが、ちょっと思い立ってUbuntuにWireGuardを入れてVPNサーバとして構成してみました。

VPN GatewayでIPsecとか構成し始めるといろいろと面倒くさいので、UDPポートを1個開放するだけで使えるWireGuardは手軽かなと。

WireGuardをインストールする

https://www.wireguard.com/install/ に記載されている手順でパッケージを追加する。今回の追加対象となるUbuntuは18.04なのでリポジトリ追加してからインストールになる。

sudo add-apt-repository ppa:wireguard/wireguard
sudo apt-get update
sudo apt-get install wireguard

サーバ(Ubuntu)側でトンネルを設定する

まずはVPN越しのトラフィックを転送するため、ip_forwardをオンにする。

sudo vim /etc/sysctl.d/98-wireguard.conf
net.ipv4.ip_forward = 1
sudo sysctl -p /etc/sysctl.d/98-wireguard.conf 

次にサーバ側の公開鍵・秘密鍵を生成する。
ここで作った鍵はこの後のトンネル設定で利用するので、無くさないようにしておく。

mkdir wgkeys
umask 077 wgkeys
cd wgkeys
wg genkey > private.key
wg pubkey > public.key < private.key

クライアント(Windows)側でトンネルを設定する

Windows版のクライアントソフトウェアは、 https://www.wireguard.com/install/ からダウンロードできる。

セットアップすると以下のような画面が表示される。

メイン画面下部の[Add Tunnel]メニューから[Add empty tunnel…]を実行する。

[Create new tunnel]画面に、Private key/Private key (公開鍵・秘密鍵)のペアが表示されるので適当な名前を付けてSaveしておく。

サーバ~クライアント間のトンネルを設定する

まずはサーバ側の設定から。wg0デバイスとして構成してみる。

sudo vim /etc/wireguard/wg0.conf
sudo wg-quick up wg0

wg0の内容は以下の通り。

[Interface]
Address = 192.168.255.1/24
ListenPort = <サーバのPort番号>
PrivateKey = <サーバの秘密鍵>
SaveConfig = true
# クライアント側からのトラフィックをIPマスカレード(NAPT)して、このサーバのIPアドレスに変換して内部ネットワークに流すためのiptablesコマンド。
# (IPマスカレードしないと、クライアントのIPアドレスのまま内部ネットワークにパケットが流れてくるので、内部ネットワークの中で適切に戻りのルーティングを追記しないといけなくなる)
PostUp = iptables -A FORWARD -o %i -j ACCEPT; iptables -t nat -A POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE
PostDown = iptables -D FORWARD -o %i -j ACCEPT; iptables -t nat -D POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE
# 以下はIPv6も通すときの設定
# PostUp = iptables -A FORWARD -o %i -j ACCEPT; iptables -t nat -A POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE; ip6tables -A FORWARD -o %i -j ACCEPT; ip6tables -t nat -A POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE 
# PostDown = iptables -D FORWARD -o %i -j ACCEPT; iptables -t nat -D POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE; ip6tables -D FORWARD -o %i -j ACCEPT; ip6tables -t nat -D POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE

# クライアント1
[Peer] 
PublicKey = <クライアントの公開鍵>
# クライアント側のIPアドレスを指定する
AllowedIPs = 192.168.255.11/32

# クライアント2
[Peer]
PublicKey = <クライアントの公開鍵>
# クライアント側のIPアドレスを指定する
AllowedIPs = 192.168.255.12/32

最後にサーバのwg0サービスを自動起動するように設定しておく。

sudo systemctl enable wg-quick@wg0
sudo systemctl start wg-quick@wg0

次に、クライアント側の設定を行う。

サーバに流し込んだコンフィグと同様に、アプリケーション上で文字列を設定していく。

[Interface]
PrivateKey = <クライアントの秘密鍵>
# クライアント側で利用するIPアドレスを指定する
Address = 192.168.255.11/24
# DNS設定をしないと、DHCP等で持っているDNSサーバがVPNトンネル越しに(普通はそんなアクセス出来ない)DNSサーバを使って名前解決をしようとして、各種のアクセスがトラフィックが名前解決エラーになってしまう。
# ここでは、接続先のAzure VMで共通して利用可能なDNSサーバを指定している。
DNS = 168.63.129.16

[Peer]
PublicKey = <サーバの公開鍵>
# VPNトンネルに流すトラフィックのIPアドレスレンジを指定する。0.0.0.0/0だと全てのトラフィックがVPN越しになる。
AllowedIPs = 0.0.0.0/0
# IPv6も通すならこっち
# AllowedIPs = 0.0.0.0/0, ::0/0
# サーバのIPアドレス:ポート番号を指定する
Endpoint = <サーバのIPアドレス>:<サーバのPort番号>

WireGuard VPNトンネルを開始する

で、繋いでみるとこんな感じ。

VPN接続のLANアダプタが一個増えてそこにトラフィックが流れるようになる。

参考にしたURL

Quick Start – WireGuard
https://www.wireguard.com/quickstart/

WireGuard – ArchWiki
https://wiki.archlinux.jp/index.php/WireGuard

WireGuard をつかってみる – Qiita
https://qiita.com/kjm/items/4344e5ccaaf9f02e5d69

WireGuardでVPNごしに自宅サーバ開発できる環境を作った
https://blog.koh.dev/2020-01-01-vpn/

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ASDK上の仮想マシンに直接アクセスするためにNAT設定を追加する

ASDK上に立てた仮想マシンへのアクセス方式として、公式にドキュメントに記載されているのは以下のやり方がある。

  • ASDKホストマシンにリモートデスクトップして、その上でSSH/RDP接続する。
    ただし、ASDKホストマシンはWindows Serverベースのため、標準だと最大2セッションしか接続できないので、多数のユーザから同時にはアクセス出来ない。
  • Azure Stack PowershellおよびAzure Stack ToolsをセットアップしたPCから、ASDKホストマシンにVPN接続する。
    この場合は、リモートデスクトップの2セッション接続制限には引っかからないが、接続元となるPCに上記のツールをセットアップしてVPNを設定する必要がある。(ASDKをデプロイする度にこの設定をユーザにやり直してもらう)

その他、Azureと同様にVPN GatewayをセットアップしてP2S VPNを構成するとかは当然出来る。

ただ、いずれも、オンプレミスっぽい雰囲気でASDK上の仮想マシンを使いたいだけのユーザからするとちょっと……、ハードルが高い。

そのため、お手軽にオンプレミスっぽい感じで接続できるようにASDKホストマシン上でNATを設定して、さもその辺に仮想マシンが居るように見せかけることにした。

Fig. ASDKでNATを構成する概念図

ASDKホストマシンで実施する手順は以下の通り。

  1. NATオブジェクトを作成する
  2. NATオブジェクトに、接続用IPアドレスを追加する
  3. NATルールを作成し、仮想マシンのIPアドレス&Port番号と、接続用IPアドレス&Port番号のマッピングを設定する

NATオブジェクトを作成する

デフォルトで、ASDKとBGPルータの間でVPN接続するための”BGPNAT”という名前のNATオブジェクトが作成されているが、これは華麗に無視して別のNATオブジェクトを作成するのが吉。

New-NetNat -Name global -ExternalIPInterfaceAddressPrefix 192.168.1.0/24

NATオブジェクトに、接続用IPアドレスを追加する

ASDKホストマシンに割り当てられているIPアドレスとは別に、NAT専用のIPアドレスを設定するのが分かりやすいはず。もしASDKが接続されているセグメントに余裕があるなら、仮想マシンと1対1で設定してしまっても良いだろう。

Add-NetNatExternalAddress -NatName global -IPAddress 192.168.1.6 -PortStart 0 -PortEnd 65535

NATルールを作成し、仮想マシンのIPアドレス&Port番号と、接続用IPアドレス&Port番号のマッピングを設定する

Add-NetNatStaticMapping -NatName global -ExternalIPAddress 192.168.1.6 -Protocol TCP -ExternalPort 22 -InternalIPAddress 192.168.102.32 -InternalPort 22

後は、NATルールを作成するだけ。

で、繋いでみると、繋がる!!!
(ちなみにPingに応答しているのはASDKホストマシンのほう。NATルールにないのでASDKホストマシン側に着信している)

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Azure

Azure Stack Development Kit 1910をインストールする(その5)

その4の続きです。

Register the ASDK with Azure の記載に従って、ASDKをAzure Subscriptionと紐付けていきます。これによってMicrosoftに対してAzure Stack上で動かしているソフトウェアや各種リソースの情報を提供し、課金請求できるようにします。

そうしないとMarketplaceのイメージを扱わせてもらえないの図。

まずはPowerShellがFullLanguageモードかどうか確認。

Post deployment configurations for ASDK に従って、Azure Stack PowerShellの導入。

Azure Stack toolsの導入

ASDKのインストールが正常終了しているか、念のためのTest-AzureStack。

ASDKの登録を実施する。

このときAzure Subscription上に登録するASDKの名前はユニークである必要があるが、現時点でどの名前が使われているか取得するコマンドがない……(と思うので)、私の場合はASDKバージョン名+登録日で命名して被らないようにしている。

登録確認。

これでMarketplaceから各種のイメージを落とせるようになった。